リスキリングに関する補助金は種類や数が多いため、違いや内容がわかりずらいですよね。
そこで今回は、そんなわかりずらいリスキリングの補助金について、特に重要なものを最新の情報を交えて、4つ紹介していきます。
最初の2つは事業者向けの補助金、後の2つは個人でリスキリングを目指しているかた向けの補助金です。
ぜひこの機会に、リスキリング講座をお得に受けられる補助金制度の内容について、知っておきましょう。
リスキリングに対する補助金情報4選
この章ではリスキリングに対する補助金情報を4つ紹介していきます。
前半の2つが、事業者が自社の社員教育としてリスキリングを行う際に活用できる補助金制度です。
- ①DXリスキリング助成金
- ②人材開発支援助成金
後半で紹介する2つは、個人がリスキリングによってキャリアアップを目指す際に活用できる補助金制度です。
- ③教育訓練給付金
- ④リスキリングを通じたキャリアアップ支援事業
これら、4つの補助金制度について、順番に解説していきます。
事業者でなく、個人で活用を検討されている方は、③教育訓練給付金から読むのもおススメです。
①DXリスキリング助成金
DXリスキリング助成金とは、「公益財団法人東京しごと財団」が実施している、東京都の助成金です。
企業が自社の従業員に対し、社外のリスキリング講座を使ったDX教育を行う際に、必要な経費の一部を助成してくれます。
DXとはデジタル・トランスフォーメーション(Digital Transformation)の略称です。企業が業務にデジタル技術を導入し、ビジネス環境の激しい変化へ対応することで、競争優位性を確立するための取り組みです。
都内の中小企業or個人事業主が対象
都内に本社または事業所の登記がある事業者が対象です。資本金や従業員が多い大企業は対象外です。
最大補助金額
最大補助金額は費用の3分の2、上限は年間で64万円です。
支給条件
DXリスキリングの支給条件は、下記の3つを満たしている必要があります。
- 都内に本社または事業所の登記があること
- 訓練に要する経費を従業員に負担させていないこと
- 助成を受けようとする訓練について国又は地方公共団体から助成を受けていないこと
②人材開発支援助成金
人材開発支援助成金とは、厚生労働省が実施している、従業員の人材育成及びスキルアップに対する助成金です。
職務に関連したスキル習得に向けた職業訓練を実施した場合などに、その経費と訓練中の賃金の一部を助成する制度です。
新規事業の立ち上げや、デジタル化などへの対応に悩む企業や個人事業主向けに、「事業展開等リスキリング支援コース」含む、全部で7つのコースが用意されています。
- 人材育成支援コース
- 教育訓練休暇付与コース
- 人への投資促進コース
- 事業展開等リスキリング支援コース…新規事業立ち上げなどによる事業展開に必要となる、新たな知識やスキル習得させる訓練の経費や、訓練期間中の賃金が対象
- 建築労働者認定訓練コース
- 建築労働者技能実習コース
- 障害者職業能力開発コース
各コースの詳しい内容は、厚生労働省の下記公式ホームページをご覧ください
全国の法人が対象
対象者は全国の法人企業、事業主が対象です。対象となる主な要件は以下の通りです。
- 雇用保険適用の事業所であること
- 訓練の対象者が雇用保険の被保険者であること
最大補助金額
事業展開等リスキリング支援コースの場合、1事業所が1年間で最大1億円受給できます。
支給条件
訓練計画書などの必要書類を1か月前までに提出し、訓練実施後に、2か月以内に支給申請書を提出する必要があります。
③教育訓練給付金
教育訓練給付金は、給付対象となっている講座を修了した際に、その経費の一部を支給する雇用保険制度です。
- 一般教育訓練給付金:一般的な多くの資格講座が対象(FP、中小企業診断士など)
- 専門実施教育訓練給付金:専門的かつ実践的な教育訓練が対象(看護師、測量士など)
- 特定一般教育訓練給付金:独占業務を持つ資格講座などが対象(宅建、社労士など)
個人が対象
雇用保険に加入している本人が支給対象です。
一般教育訓練給付金及び、特定一般教育訓練給付金は雇用保険に入っていた期間が1年間以上、専門実施教育訓練給付金は2年間以上雇用保険に入っていた方が対象です。
最大補助金額
3つの給付金の最大補助金額は、それぞれ下記の通りです。
- 一般教育訓練給付金:最大12万円
- 専門実践教育訓練給付金:3年間で最大168万円
- 特定一般教育訓練給付金:最大20万円
支給条件
3つの給付金に共通する支給条件として、下記の2つがあります
- 給付金額が4000円以上であること
- 交通費や自身で購入したテキスト代金などは支給の対象外
最大補助金額を支給される各給付金の支給条件は以下の通りです。
- 一般教育訓練給付金:入学金を含む受講料の20%(最大10万円)及び、受講前にキャリアコンサルを受けている場合、その費用の20%(最大2万円)
- 専門実践教育訓練給付金:入学金を含む受講料の50%(3年間で最大120万円)及び、資格取得後に1年以内に就職した場合、追加で20%(3年間で最大48万円)
- 特定一般教育訓練給付金:入学金を含む受講料の40%(最大20万円)
④リスキリングを通じたキャリアアップ支援事業
リスキリングを通じたキャリアアップ支援事業とは、経済産業省が実施している「キャリア相談」「リスキリング提供」「転職支援」を一体的にサポートする、新しい補助金制度です。
2023年4月から、対象となるリスキリング講座を提供している企業の公募を開始し、現在80を超える企業が対象となっています。
企業が対象
本制度の対象は、経済産業省の公募で採択された、リスキリング講座を提供している企業です。
採択された企業に対して、「人件費」「事業費」「リスキリング経費」の3つの経費の一部が補助されます。
最大補助金額
先ほど紹介した3つの補助対象の経費のうち、「リスキリング経費」がリスキリング講座を受講した者へ還元されます。
最大補助金額は受講した講座の費用の最大70%。限度額は56万円です。
支給条件
本制度を利用して講座を受講する場合、前提として下記2つの条件を満たしておく必要があります。
- 雇用関係のある在職者である
- 雇用主の変更を伴う転職を希望している
将来的に転職を考えていない人や、現在雇用関係にない場合は、本制度の対象外です。
雇用関係があれば、正社員でなくても「パート」や「アルバイト」、「派遣社員」の方も対象です!
支給条件は、リスキリング講座の受講修了後に、講座費用の50%が支給され、転職に成功し、一年間就業を続けると、さらに20%が追加で支給されます。
- 補助対象の講座修了時:受講費の50%(最大40万円)
- 転職後に一年間の就業:受講費の20%(最大16万円)
1人あたり平均24万円がリスキリングに投資←経済産業省が本腰
経済産業省は、技術の発展や働き方の変化に対応するために、リスキリングを積極的に推進しています。
リスキリングによる労働者の能力向上は、岸田首相が掲げる「新しい資本主義」の一環でもあります。
対象者に給付金を支給
前章で紹介した「リスキリングを通じたキャリアアップ支援事業」は、1人当たり平均24万円の助成を想定していて、今後3年間で33万人のリスキリングを通じた転職を後押しすることを目指しています。
対象講座の6割はプログラミングやビジネススキル
対象の講座は、近年人気のプログラミングに関する講座や、DX人材になるためのビジネススキルを学べる講座などが6割を占めています。
また、それらのプログラミングやビジネススキル以外にも、ネットの普及により需要が高まっているスキルや、常に人手不足で需要のある専門性の高いスキルを学べる講座も、本制度の対象となっています。
- 動画編集スキル
- ウェブデザインスキル
- 医療・介護スキル
動画編集スキル
動画編集スキルは、YouTube等の動画配信サイトの普及に伴い、需要が拡大しています。
ウェブデザインスキル
企業のホームページやWEBコンテンツのデザインを担当する、ウェブデザイナーを目指せる講座も対象です。
副業からでも始めやすい、動画編集やウェブデザインなどの講座も対象になっているのはうれしいですね!
医療・介護スキル
常に人手不足である、医療や介護のスキルを習得できる講座も対象です。
5年で1兆円の予算をかける政府の政策の目的とは?
政府が掲げている政策「人への投資」の目的は、「社会全体の賃上げ」を実現することです。
その為には、新しい成長分野へ、リスキリングを伴う労働移動を加速させていく必要があります。
政府の「三つの課題(⒈労働移動、⒉リスキリング、⒊賃上げ)」
政府が推進する政策にとって、今後三つの課題があります。順番に解説していきます。
労働移動
既存分野から、成長分野への円滑な労働移動も課題のひとつです。この課題を解決していくために、政府は「成長分野への挑戦」の後押しをすることが重要になってきます。
リスキリング
労働移動を加速させていくには、成長分野での業務に対応するための、新しいスキルを身に付けることが重要になります。
リスキリング推進の一環として、スキル習得にかかる費用の一部を支給するなど、新しいスキルを身に付けることのハードルを下げることが課題です。
賃上げ
賃上げをすることで、成長分野へ高いスキルを持った人材が集まり、その結果生産性が上がり、さらなる賃上げにつながります。
このような賃上げによる好循環の形成が実現できるかどうかも、本政策の今後の課題です。
【まとめ】リスキリングへ投資される補助金
今回は、リスキリングに関する補助金情報を4つ紹介し、また、リスキリングが推進されている背景について解説していきました。
事業者が社内のリスキリングを行う際に活用できる、「DXリスキリング助成金」や「人材開発支援助成金」のおかげで、企業が新しい成長分野へ挑戦しやすくなっています。
また、「職業訓練給付金」や「リスキリングを通じたキャリアアップ支援事業」を利用することで、個人が主体的にリスキリングを行うハードルも下がってきています。
これらの補助金をうまく活用し、これからの社会で活躍できる人材を目指しましょう。
うまく活用すれば、リスキリングの費用を抑えるだけでなく、キャリア相談や転職支援も無料でうけられますよ!