リスキリングは急速に変化する市場環境に対応するために、企業が学びの場を提供し新たな分野のスキルを身につけることで、躍的な成長を遂げることを目指しています。
日本でも国策として「今後5年間でリスキリング支援に1兆円を投じる」という方針を発表しましリスキリングが注目されてきました。
そこで今回は、企業がどのようにリスキリングに取り組んでいるのか?世界中の企業の成功事例7選をご紹介します。
①AT&T社はリスキリングで社内人材移動を円滑にした
AT&T社は米国の通信事業者およびメディアを手掛ける企業で、リスキリングの先駆者として注目されています。社内人材移動を円滑にした取り組みをご紹介します。
必要スキルの明確化
必要なスキルと将来必要となるスキルを各部署ごとに明確化し、社員に公開しました。公開することで社員が、自らスキルを学ぶマインドを持つ仕組みを構築しました。
スキルアップで報酬アップ
重要性の高いスキルを持つ人材や、研修コースで好成績を上げた従業員に高い報酬を与え、社員のモチベーションアップにつながる報酬制度としました。
キャリアインテリジェンスを従業員に提供
各部門の就業時間、必要スキル、賃金情報、今後の展開を見える化したデータベース「キャリアインテリジェンス」作成しました。
社員が活用することで、必要な情報を把握することができます。
外部と連携したオンライン教育
スキルアップを目指す従業員が、必要な知識を選択して学習できる研修制度を提供しました。
ITスキルのや複数の大学と連携した講座を積極的に行い、社外の知見を取り入れた教育も行っています。
パーソナル・ラーニング・エクスペリエンス
仕事に就くために必要なスキルの訓練コースを受講できる制度(パーソナル・ラーニング・エクスペリエンス)を導入しました。
AT&Tのリスキリングによる効果
- 1.1倍高い評価を受けている。
- 1.7倍昇進してる
- 1.3倍多く表彰されている。
- 離職率は1.6倍低い
研修制度や人事制度社員のモチベーション向上に繋がる工夫を行い、社内人材の移動が活発になりました。
②Walmart社のリスキリングはVRを活用
Walmart社はアメリカに本部を置く世界最大のスーパーマーケットチェーンです。
Walmart社の社員構成として、中学校卒業の社員も多く在籍し、勉強の場を与えるだけでは主体性、継続性に課題がりました。
VRによるゲーム感覚のリスキリングを行い学ぶ場を提供しました。
VRでリスキリング
具体的にVRでのリスキリングとは? 一体どのよなものなのでしょうか?
年に一度しかない発生頻度の低いや自然災害などのトラブル対応を
VRを使ってシュミレーションを行い実践的なスキルを身につけています。
従業員がお客さんの目線を疑似体験
VRを使ってお客様が売り場の見るポイントを把握して、売り場の改善や接客スタイルに活用しています。
Walmart社のリスキリングの効果
- 接客方法、売り場ディスプレイを改善することでサービス向上に繋がった。
- VR触れることで、販売スタッフのデジタル技術の教育を行えるようになった。
③Amazonは過去にリスキリング失敗している
Amazonは、教育に対して会社側からのフォローは一切なく社員本人任せの教育制度です。本人任せのリスキリングは失敗しているのでしょうか???
というか、Amazonに入社する人は積極的に学ぶ姿勢があった
Amazonの事業スピードは早く実際に働いている社員も、そのスピードについていくために日頃からリスキリングを行っています。
【結論】Amazonは会社自体がリスキリングだった
新しいことを「学ぶ」文化が根付いており、まさしく会社そのものがリスキリングを行っていたのです。
④富士通は個人の存在意義を高めるためにリスキリングに注力
富士通は日本でもIT企業として有名ですが、2019年に「IT企業からDX企業へ」
と社内に発信し企業改革が始まりました。
今後のグローバル化の激しい競争を勝ち抜くために、より個人のスキル、行動と
マインドセットが変わらなければならないと打ち出しました。
その一つの施策がリスキリングが含まれています。
FujitsuLearningExperience(FLX)を提供
オンデマンド型教育「Fujitu Learning Experience」を社員に提供しました。最先端のDXからAI、クラウドなど個人の関心をもつ幅広い学習コンテンツを取り揃え、いつでも、誰でも受講できるシステムです。
45歳以上のベテラン社員の学習時間が増加しています。その主な理由の一つは、「2025年の壁」への対応として、ベテラン社員が積極的にリスクリングを実施しています。
「人を活かし、人に活かされている会社」を目指す
リスキリングはの最大のメリットは「人材の価値が上がること」と考え、社員が主体性をもって自ら学び、行動する人材を育て、発展することを目指いしています。 育った人材が社内外の人と協調しながら互いの力を引き出し合うことで新しい価値が生まれる会社を目指しています。
⑤ドコモは「ドコモアカデミー」を開校!
NTTドコモは企業内大学として「ドコモアカデミー」を開校しました。
意欲ある社員に事業開発に必要なスキルとマインドを学ぶことを目的としています。
新規事業立ち上げでリスキリング
新規事業の他に、副業、NPOの参画など、社外の学びの場を提供し”最初の一歩を後押しする”ことで、リスキリングの効果を社内に波及させる狙いがあります。
業務時間内でリスキリングを行っている
必ず業務で活用できるスキルを身につくので、ドコモアカデミーは業務時間内に講義が設定されています。
⑥トラスコ中山のDX推進リスキリング
「日本のモノづくりを支える」で有名のトラスコ中山。電話やFAXを用いた非効率な業務のIT化を進め利便性を高めてきました。2019年にDX戦略を打ち出した一つにリスキリングがあります。
デジタル戦略本部がIT教育
デジタル戦略本部がデジタル化の学習プログラムを担当しています。社内から選ばれた次世代リーダー候補生に研修を行っています。研修の一つに他業種と交流があり、候補生のマインドの変化を狙っています。
各支店に「DXオフィサー」を設置
各支店にITスキルを持つ、「DXオフィサー」を設置しました。デジタル推進部との連携を図り、各地域に合ったサービスを提供しています。
⑦石川樹脂工業はリスキリングで生産性190%向上
石川樹脂工業は飲食店や家庭用の食器の樹脂製品を製造販売する会社です。
わずか数年で20台のロボットを導入し、190%生産性向上を実現した企業です。石川樹脂工業のリスキリングの取り組みとは?
20台のロボットを導入成功
産業用ロボット未経験の中で、ロボットメーカーからの協力を得ながら、プログラミングを学びました。その後数年で20台のロボットを導入し190%の生産性向上を実現しました。
元ソニー社員からDXを学ぶ
ロボット講習に参加した社員は、特にプログラミング経験はありませんでした。ソニーで勤務した経歴があり、トヨタの生産方法をソニー流に改良した社員でした。
新たな分野のスキルを身につけることでロボット化を成功させました。
【まとめ】リスキリングの事例
リスキリング世界の成功事例をご紹介しましたが、皆さんはどう感じましたか?
今後企業側もリスキングに力を入れて学習環境が整備されると予想できます。自ら行動し、主体的リスキリングに取り組んでいきましょう。