自治体のリスキリングの取り組み7エリア←地域丸ごとレベルアップ!

自治体のリスキリングの取り組み7エリア

社会全体のDX化が進む中、リスキリングはますます重要視されています。

企業主体で行われるリスキリングですが、実務的な学び直しである以上、自治体や教育機関との連携は不可欠です。

また、リスキリングについては政府が推進を表明しており、各地域で実際に必要性も高まっています。

これらのことから、多くの自治体ではリスキリングの取り組みを設け、地域全体のレベルアップをはかっています。

企業と自治体、地域の職業訓練所や大学などの教育機関。
協力しあえば、より効率的な学び直しに!

今回は、自治体によって独自の取り組みが行われている、7つのエリアをご紹介します。

【東京】DX人材育成プログラムを無料で提供

【東京】DX人材育成プログラムを無料で提供

東京都では、DXによる課題解決を目指す企業に向けて、一定の要件を満たした場合に「DX人材育成プログラム」を無料で提供しています。

このプログラムでは、企業の課題に寄り添う学習計画の策定から、個別最適化した学習プログラムまでを、一体的に支援するとしています。

ITの知識ゼロでも安心!DXコンサルタントとの面談あり!

DX人材育成プログラムの特徴に、以下の面談・診断によって、個人に最適化された学習プログラムが提供されることがあります。

  • 経験豊富なDXコンサルタントとの面談
  • 参加者のDXスキル診断

初めて会社のIT担当に選ばれた人でも、安心して参加できますね!

各企業の課題と受講者のスキルレベルにあわせて、最適化された学習プログラムが作成されるため、ITの知識や経験がない企業・受講者も、DX化に向けた一歩を踏み出すことができそうです。

【広島】リスキリングナビと連携←ものづくり中小企業をリスキリング

【広島】リスキリングナビと連携←ものづくり中小企業をリスキリング

ものづくり分野の企業を多く抱える広島県では、2022年4月に「広島県リスキリング推進検討協議会」を発足させ、企業のリスキリングについて独自の支援を行っています。

施策の1つとして、企業のリスキリング事例を多数掲載する「リスキリングナビ」と連携し、中小企業向けたリスキリングの実践支援があります。

リスキリングナビとは?
【運営会社:株式会社ドットライフ(東京都)】
▶「時代や社会に合わせて変化する人を支援する」というミッションの元、企業のリスキリングに特化して、人材育成担当者やDX担当者に向けた情報発信を行うwebサービス。

ITリテラシーを身に着けた人材が活躍できる地盤をつくる!

他にも広島県は、ITパスポート取得支援補助金や、リスキリングを活発化するためのイベント企画など、複数の支援が行っています。

近い将来、広島県内の中心産業である自動車や造船業へ、学校教育でデジタルリテラシーを身に着けた世代が入社することが想定されています。

・若く知識のある人材に、地元企業を選んでほしい!
・社内のITリテラシーの格差をなくしたい!

こうした考えから、国家資格であるITパスポートの取得を支援しています。

県の支援によってリスキリングの理解は深まり、企業が対外的にリスキリングに取り組むことを宣言する「広島県リスキリング推進宣言制度」の企業数は、2年目となった2023年度に191社と数を伸ばしました。

自治体と地元企業の積極的な取り組みで、ITスキルを持った人材が活躍できる地盤づくりが、順調に進んでいます。

【沖縄】日本リスキリングコンソーシアムの後援団体として参画

【沖縄】日本リスキリングコンソーシアムの後援団体として参画

沖縄県は、「新・沖縄21世紀ビジョン」・「おきなわSmart産業ビジョン」で掲げている、「全産業におけるデジタル人材の育成」を支援するため、「日本リスキリングコンソーシアム」に後援団体として参画しました。

この取り組みでは県民に向けて、コンソーシアムが提供する様々なトレーニングプログラムの積極的な活用を促しています。

たとえば、沖縄県糸満市では、「糸満でじたる女子プロジェクト」では、糸満市内在住の成人女性を対象に、受講料無料でデジタルスキルを身に着けらる学習プログラムを提供しています。

「転職して今より収入を増やしたい。」
「子どもと過ごす時間を増やしたい。」
このような、働く女性の希望を叶える支援が行われています。

まったくの初心者からでも、IT技術者として大幅な収入UPを目指せるうれしいプロジェクト!

リモートワークで自分の時間がたくさん作れる働き方!

日本リスキリングコンソーシアムは、希望者に対して就業支援も行っています。

この支援では、企業への転職・就職だけでなく、アルバイトや副業、フリーランスなど多様な働き方に対応しており、研修プログラムで得たスキルを活かせる取り組みであることが、大きな魅力です。

ワークライフバランスが重要視される今、「リモートワークの仕事について、自分の時間を確保したい」など、受講者が職種だけでなく、希望の働き方を目指すことができます。

【福岡】半導体に関わる人材を育成!

【福岡】半導体に関わる人材を育成!

福岡県は2023年8月に「福岡半導体リスキリングセンター」を設立しました。 

  • コロナ禍でデジタル化が進み、半導体需要が高まった。
  • 世界最大の半導体製造企業である「TSMC(台湾)」が熊本県へ進出した。

こうした背景があり、福岡県をはじめ九州全域、また、全国における人材不足に対応するため、半導体分野や、デジタル産業分野の重要技術を身に着けた人材を育成する狙いです。

東京大学大学院工学系研究科の黒田教授がセンター長に!

「福岡半導体リスキリングセンター」のセンター長には、世界で活躍する半導体分野の第一人者である、東京大学大学院工学系研究科の黒田 忠宏教授が就任しました。

講座はeラーニング・オンライン講座・対面講座で提供され、「作る側」「使う側」に着目した講座が行われています。

【作る側】半導体の設計、製造、テストなどの生産工程で分類した講座
【使う側】自動車分野や組込分野など、半導体を使うための基盤技術を中心とした講座 

AIや5Gといったデジタル化が進展することで、今後も半導体の需要は増えていくと言われています!

【大阪】受講費の1/2を支援「大阪府スキルアップ支援金」

【大阪】受講費の12を支援「大阪府スキルアップ支援金」

大阪府では、指定の教育訓練講座を受講・修了した場合に、その講座受講費の1/2を支給する「大阪府スキルアップ支援金」の制度を設けています。

対象者は大阪府在住で、離職(求職)期間が長引いている人、または非正規雇用で長期間働いている方等としています。

厚生労働大臣が指定した教育訓練を修了することでスキルを身に着けてもらい、正社員としての就職を支援したい考えです。

IT系以外の介護や運転免許も対象に!

「大阪府スキルアップ支援金」の受給対象になる教育訓練講座は、IT系にかかわらず、幅広い業種から学びたい分野を選ぶことができます。

介護や看護、調理師や美容師など、人材が求められる業界で、就職に結びつきやすい教育訓練を自分で選ぶことができるのが大きなメリットです。

また、普通運転免許の取得費用も受給対象とされているため、離職期間中に運転免許を取得したい人にはおすすめできる制度です。

受講費の1/2は、かなり大きな経済的サポートですよ!

【札幌】札幌AI道場でA活用人材を増やす!

【札幌】札幌AI道場でA活用人材を増やす!

デジタル化が進み、AIの活用領域が広がる中、札幌市では2022年8月に、人材育成に特化した講座「札幌AI道場」を開校しました。

名前のとおり、AIに関わる育成プログラムであり、AIの知識やプログラミング能力を持つ人材を集め、実際に企業が抱える課題を解決しながら講座を受講できる、リスキリングの取り組みです。

「AIの社会実装を先導する都市さっぽろ」の実現を目指す!

もともと札幌市は、AI人材の育成、AI開発企業の集積、地域企業間の協業促進などを目的として、2017年に「札幌AIラボ」を設立しています。

これまでにも、AI人材の育成や、AIを活用したビジネス創出支援など、さまざまな取り組みを推進してきました。

札幌AIラボは、以下の3機関が連携し「AIの社会実装を先導する都市さっぽろ」の実現を目指しています。
・札幌市
・市内のIT企業
・北海道大学を中心とした学術研究機関

その札幌AIラボが運営する札幌AI道場は、従来の座学中心の授業にはない、企業の実課題を題材としたプロジェクト形式の学習を行っており、受講者は実際的な開発の経験が得られます。

また、課題を提供する企業にとっては、事業に適したAIの導入について把握したり、試験的なAIモデルから成果を検討する機会になります。

まさに、市内の産官学にとって有用な取り組みが行われています。

【神奈川】「かながわ中小企業リスキリング相談窓口」を設置

【神奈川】「かながわ中小企業リスキリング相談窓口」を設置

神奈川県は、中小企業・小規模事業者から、リスキリングに関する相談を受け付ける「かながわ中小企業リスキリング相談窓口」を、2023年4月に設置しました。

社会全体のDX化が進む中、中小企業でもリスキリングへの関心が高まっていることを受け、デジタル支援などの経営や、従業員のキャリア形成など、さまざまな相談が行われています。

相談⇒研修⇒助成金まで支援

「かながわ中小企業リスキリング相談窓口」では、県内の関連機関と連携し、受け付けた相談を各種の研修機関や、企業助成制度につなげています。

連携する研修機関】

  • スキルアップセミナー(東部総合職業技術校/西部総合職業技術校/産業技術短期大学校)
  • 能力開発セミナー 生産性向上支援訓練(ポリテクセンター関東)
  • 講座・研修(地方独立行政法人 神奈川県立産業技術総合研究所)

【連携する助成制度】

  • 企業に対する助成制度(神奈川労働局神奈川助成金センター)
  • 労働者が活用できる助成制度(神奈川県内ハローワーク)

専門の担当者がいない中小企業でも、相談から研修、助成金の受給までをトータルで支援してもらえます。相談して損はない制度!

【まとめ】各自治体のリスキリングの取り組み

【まとめ】各自治体のリスキリングの取り組み

今回ご紹介した7エリア以外でも、各自治体でリスキリングの取り組みは進められています。

すでに、リスキリングに取り組む自治体のコミュニティも作られています。
2023年5月に株式会社ベネッセコーポレーションは、全国45自治体と「全国自治体リスキリングネットワーク」を立ち上げました。

日本は今、デジタル化の遅れや地域産業の衰退、非正規雇用の雇止めといった、様々な課題を抱えています。

自治体にとってリスキリングによる人材育成は、これらを解決するための重要な取り組みなのです。

これは、今後新たなスキルを身に着け、DX人材として活躍したい人にとっては、学習機会が増えていることを意味します。

勤務する会社でリスキリングができない人も、自治体の取り組みを利用することで、お得にスキルアップができるかもしれません。
ぜひ、お住まいの地域の取り組みや支援策をチェックしてみてくださいね。

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